相続手続きで最も重要であり、時間も労力もかかるものが「遺産分割協議」です。
相続人全員で話し合い、財産をどのように分けるかを決める場ですが、認識の違いや意見の対立からトラブルにつながることも少なくありません。
本記事では、遺産分割協議の基本的な仕組み、進め方、よくあるトラブルとその対策について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
遺産分割協議とは何か
遺産分割協議とは、相続人全員で亡くなった方(被相続人)の財産をどのように分けるか決める話し合いのことです。
法定相続分という基準はありますが、それに必ず従う必要はなく、相続人の全員が納得すれば自由に分け方を決められます。
法定相続分との関係
法定相続分はあくまで「基準」であり、絶対ではありません。
たとえば、
- 不動産は長男が相続
- 預貯金は他の相続人で按分
など、話し合いで柔軟に決めることができます。
ただし、一人でも反対する相続人がいる場合、協議は成立しません。
そのため、事前の情報整理と丁寧なコミュニケーションが重要になります。
協議が必要なケース/不要なケース
●協議が必要なケース
- 相続財産が複数ある
- 法定相続分と違う分け方をしたい
- 不動産がある
- 相続人の数が多い
●協議が不要なケース
- 相続人が単独(配偶者も子もいない など)
- 財産をすべて法律どおりの割合でそのまま分ける場合
遺産分割協議の基本的な流れ
① 相続人の確定
協議の前に、まず誰が相続人になるのかを明確にする必要があります。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を収集し、相続人を確定します。
ここが誤っていると、後から無効になる恐れがあります。
② 財産調査
財産の全体像が分からなければ協議は進みません。
- 預貯金
- 不動産
- 有価証券
- 借金・未払い金
など、プラスの財産とマイナスの財産の両方を確認します。
③ 協議の実施
相続人全員で、財産をどう分けるかを話し合います。
電話やオンライン、書面でのやり取りも可能ですが、必ず全員が同意することが条件です。
④ 遺産分割協議書の作成
協議内容がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印します。
この協議書は、
- 不動産の名義変更
- 銀行の相続手続き
などで必要になります。
よくあるトラブルとその予防策
相続人同士の認識違い
「自分が多く介護をしたから多くもらうべき」、「財産の価値を高く(または低く)見積もりたい」など、主観のズレが原因で揉めることがあります。
→ 事前に財産目録を作成し、全員に共有しておくことが効果的です。
介護の不公平感
介護をした人とそうでない人の間には、不満が生まれやすいものです。
→ 遺言書があれば防げることも多いため、生前対策の重要性を伝えることが大切です。
財産の評価をめぐる争い
不動産や株式など、価値が変動するものは意見が合わないことがあります。
→ 評価額は専門家の意見や公的資料を参考にすることで合意しやすくなります。
専門家に相談すべきタイミング
遺産分割協議は単なる話し合いではなく、法的な要件を満たさないと無効になる可能性がある重要な手続きです。
次のような場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
- 相続人の一部と連絡が取れない
- 財産の範囲が不明
- 相続人の間で意見が分かれている
- 協議書の作成方法が分からない
行政書士は、戸籍収集や財産調査のサポート、協議書の作成などを通じて、円滑な手続きを支援できます。
まとめ
遺産分割協議は、相続手続きの中でも特に慎重さが求められるステップです。
適切な準備と情報整理を行い、相続人全員が納得できる形で進めることが大切です。
当事務所でも業務として取り扱ってます。少しでも不安がある場合は、早めにご相談ください。
皆さまの状況に応じて、スムーズな相続手続きが進むようお手伝いさせていただきます。
