風俗営業許可を申請するときには、営業所の平面図だけでなく、**「営業所の周囲の略図」**も提出します。
警視庁の風俗営業許可申請の案内でも、必要書類として「営業所の平面図及び営業所の周囲の略図」が明記されています。(keishicho.metro.tokyo.lg.jp)
この「周囲の略図」は、単なる地図を添付するだけの書類ではありません。
風俗営業では、営業所の周辺にある学校、図書館、児童福祉施設、病院、診療所などが、営業場所に関する規制との関係で重要になるためです。
特に東京都では、営業所の所在地だけでなく、用途地域や周辺の施設、施設の種類、距離などを確認する必要があります。
この記事では、東京都で風俗営業許可を申請する際に知っておきたい「営業所周囲の略図」について、物件探しの段階で注意したいポイントも含めて解説します。
「営業所周囲の略図」とは?
営業所周囲の略図とは、風俗営業を行う店舗の周辺状況を確認するために提出する図面です。
風俗営業許可の申請では、
- 許可申請書
- 営業の方法を記載した書類
- 営業所の使用権原を示す書類
- 営業所の平面図
- 営業所の周囲の略図
などを準備します。
警視庁も、風俗営業許可の必要書類として「営業所の平面図及び営業所の周囲の略図」を案内しています。(keishicho.metro.tokyo.lg.jp)
「平面図」が店舗の中の状況を確認するための図面であるのに対し、「周囲の略図」は店舗の周辺状況を確認するための図面と考えると分かりやすいでしょう。
なぜ周辺の地図が必要なの?
風俗営業許可では、営業所の場所について一定の規制があります。
東京都の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」では、風俗営業の営業所の設置を特に制限する地域として、一定の住居地域などを定めています。
また、学校、図書館、児童福祉施設、病院、診療所などの敷地の周囲100メートル以内の地域についても、原則として営業所の設置を制限する規定があります。もっとも、近隣商業地域・商業地域の一部については例外が定められています。(keishicho.metro.tokyo.lg.jp)
そのため、
「この店舗の周辺には、風営法上確認が必要な施設がないか」
ということを確認する必要があります。
その確認のためにも、営業所周囲の略図が重要になります。
「学校や病院が近い=必ず許可できない」ではない
ここは特に注意したいところです。
「学校から100m以内なら絶対に風俗営業許可が取れない」
と単純に考えることはできません。
東京都の条例では、学校、図書館、児童福祉施設、病院、診療所などの周囲100メートル以内を原則として制限していますが、近隣商業地域や商業地域の一部については例外が設けられています。(keishicho.metro.tokyo.lg.jp)
さらに、施設の種類によっても東京都公安委員会規則で距離の扱いが異なります。
たとえば、近隣商業地域・商業地域では、学校、大学、病院、診療所などについて異なる距離基準が定められています。(keishicho.metro.tokyo.lg.jp)
そのため、
「地図を見て100m以内に学校があるからダメ」
と判断するのではなく、
- どの施設なのか
- どの地域にあるのか
- どの営業種別なのか
- 東京都の条例・公安委員会規則上の例外に該当するか
などを確認する必要があります。
確認したい「保護対象施設」とは?
風俗営業の営業場所を確認するときには、周辺に次のような施設がないかを確認します。
学校
小学校、中学校、高等学校などの学校は、営業場所の規制を確認するうえで重要な施設です。
学校については、単に建物だけを見るのではなく、条例上の「学校」に該当するかなどを確認する必要があります。
図書館
図書館も、東京都の条例で確認対象となる施設の一つです。
児童福祉施設
児童福祉施設についても、営業場所との関係を確認する必要があります。
ただし、「子どもが利用する施設なら全部同じ」というわけではありません。
条例・規則上の対象となる施設かどうかを確認することが重要です。
病院
病院も重要な確認対象です。
診療所
診療所についても確認が必要です。
ただし、東京都の規則では、診療所について入院施設の有無などに応じた扱いが定められているため、単純に「近くにクリニックがあるから営業できない」と判断するのは適切ではありません。(keishicho.metro.tokyo.lg.jp)
「周囲の略図」は物件選びにも役立つ
営業所周囲の略図は、許可申請のときだけ必要になるものではありません。
むしろ、物件を契約する前の段階で周辺環境を確認するためにも役立ちます。
たとえば、気になる物件を見つけたら、
「駅から近い」
「繁華街にある」
「飲食店が多い」
という条件だけで判断するのではなく、
- 用途地域
- 学校
- 図書館
- 児童福祉施設
- 病院
- 診療所
- その他の周辺環境
などを確認します。
これらを確認したうえで、予定している営業が可能かを検討することが重要です。
不動産会社の「風俗営業可」をそのまま信じてよい?
物件探しをしていると、
「風俗営業可能」
「キャバクラ相談可」
「バー・スナック可」
などと記載されている物件を見かけることがあります。
しかし、これらの表示だけで風俗営業許可が取得できると判断するのはおすすめできません。
不動産会社や貸主が「風俗営業可能」としている場合でも、実際に許可が取得できるかどうかは、風営法、東京都の条例、営業所の構造・設備などを含めて確認する必要があります。
つまり、
「貸主がOK」=「風俗営業許可もOK」
ではありません。
物件契約前に、行政書士などに確認しておくと安心です。
地図だけでは判断できないこともある
営業所周囲の略図を作るときに注意したいのが、地図だけを見て判断しないことです。
インターネット上の地図や不動産情報だけでは、
- その施設が条例上の対象施設なのか
- 現在もその施設が存在しているのか
- どの部分を基準に距離を考えるのか
- 地域区分がどのようになっているのか
などが分からない場合があります。
また、施設の名称だけでは判断できないケースもあります。
そのため、周辺施設が見つかった場合には、施設の種類や所在地、東京都の条例・規則上の扱いを確認することが重要です。
距離は「目測」で判断しない
風俗営業許可では、周辺施設との距離が問題になることがあります。
そのため、
「地図を見る限り100mくらい離れている」
「Googleマップでなんとなく距離がある」
といった目測だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。
実際に許可申請を検討する際には、営業所の位置と周辺施設の位置を正確に確認し、適用される規定に沿って判断する必要があります。
特に、
「100m以内かどうか」だけを見るのではなく、その地域と施設の種類を含めて確認する
ことが重要です。
周囲の略図だけでなく「用途地域」も確認する
周辺施設と合わせて確認したいのが、営業所の用途地域です。
東京都の条例では、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域などについて、風俗営業の営業所の設置を特に制限しています。
一方で、営業種別によっては、近隣商業地域や商業地域に近接する一部の地域について例外が設けられています。(keishicho.metro.tokyo.lg.jp)
そのため、
「駅前だから大丈夫」
「繁華街だから大丈夫」
という判断もできません。
用途地域を確認したうえで、予定している営業種別との関係を確認する必要があります。
物件契約前に確認しておきたいチェックリスト
これから東京都で風俗営業を始める場合は、物件契約前に次の項目を確認しておくと安心です。
物件の所在地
□ 正確な住所を確認した
用途地域
□ 営業所の用途地域を確認した
周辺施設
□ 学校を確認した
□ 図書館を確認した
□ 児童福祉施設を確認した
□ 病院を確認した
□ 診療所を確認した
営業内容
□ 予定している営業種別を整理した
□ 接待を行う予定があるか確認した
□ 営業時間を確認した
契約関係
□ 貸主が予定している営業を認めている
□ 賃貸借契約の使用目的を確認した
□ 営業者と契約者の関係を確認した
これらを確認してから物件契約を進めることが重要です。
風俗営業許可では「店舗の中」と「店舗の外」の両方を見る
風俗営業許可では、店舗の中だけを確認しても十分ではありません。
店舗の中については、
- 客室
- 壁・仕切り
- 出入口
- 照明
- 音響設備
- カウンターなど
の構造・設備を確認します。
一方、店舗の外については、
- 用途地域
- 周辺施設
- 保護対象施設との関係
- 営業所の所在地
などを確認します。
つまり、
「店舗の中の基準」+「店舗の外の基準」
の両方を確認する必要があります。
警視庁も、風俗営業許可について、営業所の構造・設備が技術上の基準に適合しない場合や、東京都の条例で定める地域内に営業所がある場合には許可を受けられないことがあると案内しています。(keishicho.metro.tokyo.lg.jp)
営業所周囲の略図は「申請書類の一つ」と考えすぎない
営業所周囲の略図は、許可申請に添付する書類の一つです。
しかし、実務上は、
「この物件で本当に営業できるのか?」
を確認するための重要な資料でもあります。
物件を契約してから周辺施設を調べるのではなく、
物件を探す段階で周辺環境を確認する
ことが、風俗営業の開業では非常に重要です。
特に東京都では、地域によって営業場所の規制や例外が異なるため、「繁華街だから大丈夫」「学校が近いから絶対にダメ」といった単純な判断は避ける必要があります。
東京都で風俗営業許可をお考えの方へ
当事務所では、東京都内で風俗営業許可を取得する方について、営業内容の確認だけでなく、物件や店舗の状況を確認したうえで、許可申請に必要な書類の準備をサポートしています。
特に、
「これから物件を契約する」
「不動産会社から風俗営業可能と言われたけれど、本当に大丈夫?」
「学校や病院が近くにあるけれど許可を取れる?」
「内装工事を始める前に確認したい」
といった場合は、契約や工事を進める前にご相談ください。
風俗営業許可では、物件を契約してから調べるのではなく、契約前に確認することが重要です。
まとめ
風俗営業許可を申請する際には、「営業所の周囲の略図」を提出します。
これは単に店舗周辺の地図を添付するための書類ではなく、営業所の周辺にある学校、図書館、児童福祉施設、病院、診療所などとの関係を確認するうえでも重要です。
東京都では、これらの施設からの距離について一定の規制がありますが、地域や施設の種類によって例外も設けられています。(keishicho.metro.tokyo.lg.jp)
そのため、
「100m以内だからダメ」
「繁華街だから大丈夫」
といった単純な判断ではなく、
営業種別・用途地域・周辺施設・距離・東京都の条例や規則
をまとめて確認することが大切です。
これから風俗営業を始める方は、物件を契約する前に周辺環境を確認しておくことをおすすめします。

