キャバクラ、スナック、ホストクラブなどの店舗を開業するとき、物件探しは非常に重要です。
風俗営業許可では、営業する場所が風営法や東京都のルールに適合しているかだけでなく、申請者がその店舗を営業所として使用できる権原を持っているかについても確認する必要があります。
警視庁の風俗営業許可申請の案内でも、必要書類として「営業所の使用について権原を有することを疎明する書類」が挙げられており、使用承諾書、賃貸借契約書、建物に係る登記事項証明書などが例示されています。
そのため、
「気に入った物件が見つかったから、とりあえず契約しよう」
と進めるのではなく、風俗営業を行う店舗として使用できるかを契約前から確認しておくことが大切です。
この記事では、東京都で風俗営業許可を取得する場合に知っておきたい「使用権原」と、賃貸借契約・使用承諾書について分かりやすく解説します。
風俗営業許可でいう「使用権原」とは?
簡単にいうと、「その場所を営業所として使用できる権利があるか」ということです。
たとえば、店舗を賃借して営業する場合には、一般的に賃貸借契約などによって、その店舗を使用することになります。
一方、自分が所有している建物で営業する場合には、自分がその建物を使用できることを示す資料を準備します。
警視庁では、風俗営業許可の申請に必要な書類として、営業所の使用について権原を有することを疎明する書類を案内しています。具体例として、使用承諾書、賃貸契約書の写し、建物に係る登記事項証明書などが挙げられています。
つまり、風俗営業許可では、
「誰がその店舗を使うのか」
「その人が、その店舗を営業所として使用できるのか」
という点を確認する必要があります。
賃貸物件なら「賃貸借契約書」を確認する
店舗を借りて営業する場合、まず確認したいのが賃貸借契約書です。
特に重要なのは、単に「店舗として使えるか」だけではありません。
これから開業する営業が風俗営業に該当する場合には、その営業を行うことについて契約上問題がないかを確認しておく必要があります。
たとえば、
- 使用目的がどのように定められているか
- 飲食店としての使用が認められているか
- 風俗営業に関係する使用について問題がないか
- 転貸や名義に関する制限がないか
- 契約者と実際の営業者が一致しているか
などを確認します。
契約書の内容によっては、別途、貸主からの使用承諾などが必要になることも考えられます。
そのため、契約書を締結する前に、実際に予定している営業内容を整理しておくことが重要です。
「飲食店として使える物件」なら風俗営業もできる?
ここは特に注意したいポイントです。
不動産会社から、
「飲食店として使用できます」
「バーとして使用できます」
と説明されたからといって、風俗営業許可を取得できるとは限りません。
風俗営業を行う場合には、営業所の場所について風営法や東京都の条例などによる営業制限を確認する必要があります。
さらに、店舗の構造・設備についても基準があります。
したがって、物件を決めるときには、
① その場所で予定する営業ができるか
② 風俗営業許可の営業所として使用できるか
③ 契約上、その営業を行うことに問題がないか
を分けて確認することが大切です。
「飲食店として使える」と「風俗営業許可を取得できる」は、同じ意味ではありません。
使用承諾書が必要になることもある
風俗営業許可の申請では、使用権原を示す資料として「使用承諾書」などが挙げられています。
たとえば、賃貸借契約書だけでは営業所としての使用関係を十分に確認できないケースでは、貸主などから使用承諾を得ることがあります。
ただし、必要となる書類は物件の所有関係や契約関係などによって変わるため、「必ず使用承諾書が必要」「賃貸借契約書だけで必ず足りる」と一律に考えないことが重要です。
実際の物件について、契約関係を確認したうえで必要書類を判断することになります。
契約者と営業者が違う場合は要注意
店舗を借りる人と、実際に風俗営業許可を取得して営業する人が異なる場合には、契約関係を慎重に確認する必要があります。
たとえば、
- 個人名義で店舗を借りて法人が営業する
- 法人名義で借りた店舗を別の個人が営業する
- 親族名義で借りた店舗で営業する
- 別会社が借りた店舗を使用する
などです。
このようなケースでは、単純に「店舗を借りているから大丈夫」と判断せず、誰が営業者となり、誰が店舗を使用するのかを整理する必要があります。
必要に応じて、使用関係を確認できる書類を準備します。
「名義だけ借りる」という考え方にも注意
風俗営業許可を取得する際には、営業者と店舗の使用関係を明確にしておくことが重要です。
たとえば、
「知人の名義で物件を借りてもらって、自分が営業する」
「会社名義で借りた店舗を別の人が営業する」
といった場合には、契約関係や使用権原を整理する必要があります。
実際の営業者と契約上の使用者が異なる場合は、風俗営業許可の申請前に確認しておくことをおすすめします。
物件契約の前に「風俗営業をする予定」と伝える
風俗営業を予定している場合、可能であれば物件の契約前に、貸主や管理会社などに営業内容を確認しておくことが重要です。
特に、
「バーとして使いたい」
という説明だけで契約を進めた後、
「実際には風俗営業許可を取得して営業する予定だった」
となると、契約上の問題が生じる可能性があります。
物件を紹介してもらう段階から、
「風俗営業許可を取得して、キャバクラ・スナック等として営業する予定です」
など、予定している営業内容を明確にしておくことが重要です。
もちろん、営業できるかどうかは、貸主との契約関係だけでなく、風営法上の営業場所の規制なども別途確認する必要があります。
契約前に確認したい5つのポイント
風俗営業を予定している店舗物件については、契約前に次の点を確認しておくと安心です。
誰が契約するのか
個人で営業するのか、法人で営業するのかを確認します。
誰が風俗営業許可を申請するのか
賃貸借契約の名義人と許可申請者が異なる場合は、使用関係を確認します。
どのような営業をするのか
キャバクラ、スナック、バーなど、予定している営業内容を具体的に整理します。
契約上、その営業が認められているか
賃貸借契約書や使用目的などを確認します。
風営法上、その場所で営業できるか
用途地域や保護対象施設など、営業場所に関する規制を確認します。
この5つは、できれば物件契約を締結する前に確認しておきたいポイントです。
「物件が決まってから許可を調べる」では遅いことも
風俗営業許可では、物件選びが非常に重要です。
たとえば、物件を契約した後に、
「この地域では予定していた営業ができない」
「店舗の構造では許可の基準を満たせない」
「内装を変更する必要がある」
といった問題が見つかると、予定外の費用や工事が発生する可能性があります。
また、賃貸借契約を締結した後では、物件を変更することも簡単ではありません。
そのため、
物件を探す → 契約する → 許可を調べる
という順番ではなく、
営業内容を決める → 候補物件を確認する → 風営法上の問題を確認する → 契約を検討する
という進め方が重要です。
内装工事についても契約前から考えておく
風俗営業許可では、物件だけでなく店舗の構造・設備も重要です。
そのため、物件契約を検討する段階から、
- 客室の配置
- 壁や仕切り
- 出入口
- 照明
- 音響設備
- カウンター
- その他の店舗設備
などについても確認しておくと安心です。
風俗営業者が営業所の構造・設備を変更する場合、変更内容によっては、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならない場合があります。警視庁は、客室の位置・数・床面積の変更や、壁・ふすまなど営業所内部を仕切る設備の変更などを承認が必要となる変更として案内しています。
つまり、「とりあえず契約して、あとから内装を考える」という進め方にも注意が必要です。
行政書士に相談するなら「契約前」がおすすめ
風俗営業許可について行政書士へ相談する場合、店舗契約が終わってからではなく、物件を契約する前の段階で相談することをおすすめします。
確認できる情報がそろっていれば、
- 営業内容
- 物件の所在地
- 建物の情報
- 店舗の図面
- 賃貸借契約の内容
- 営業者と契約者の関係
- 内装計画
などを確認しながら、風俗営業許可の可能性を検討できます。
特に、これからキャバクラやスナックなどを開業する方は、物件契約や内装工事に大きな費用がかかることもあります。
契約してから問題に気付くより、契約前に確認する。
これが風俗営業を予定する店舗探しでは重要です。
東京都で風俗営業許可をお考えの方へ
当事務所では、東京都内でキャバクラ、スナックなどの風俗営業を始める方について、許可申請のサポートを行っています。
「この物件で風俗営業をして大丈夫?」
「契約前に確認しておきたい」
「貸主から使用承諾をもらう必要がある?」
「個人名義で借りる予定だけれど、法人で営業したい」
「内装工事を始める前に確認したい」
といった場合も、できるだけ早い段階でご相談ください。
風俗営業許可は、申請書類だけを準備すればよいものではありません。
物件・契約関係・店舗の構造・営業方法をまとめて確認することが大切です。
まとめ
東京都で風俗営業許可を取得する場合、営業所について使用する権利を持っていることを示す書類が必要です。
警視庁では、使用承諾書、賃貸契約書の写し、建物に係る登記事項証明書などを、使用権原を疎明する書類の例として案内しています。
ただし、重要なのは書類を準備することだけではありません。
「誰が契約するのか」
「誰が営業するのか」
「どのような営業をするのか」
「契約上、その営業が認められているのか」
を、物件契約の前から確認しておくことが大切です。
風俗営業を予定している場合は、物件を契約してから許可について考えるのではなく、契約前の段階で風営法上の確認を行うことをおすすめします。

