相続手続きの中でも、特にご家族が困りやすいのが 銀行口座の凍結 です。
「亡くなるとすぐ下ろせなくなるの？」「どうやって解除するの？」
というご質問は、行政書士としてもよく受ける内容です。
この記事では、一般の方にも分かりやすいように、銀行口座が凍結される理由から解除手続きの流れまでをやさしく解説します。
銀行口座はいつ凍結されるの？
結論から言うと、銀行が“死亡の事実を知ったとき”に凍結されます。
家族が連絡しなくても、
- 新聞の訃報
- 役所や他行の情報
- たまたま銀行員が知った
などがきっかけで凍結される場合もあります。
凍結されるとどうなる？
- お金を引き出せない
- 引き落としも止まる
- ネットバンキングも使えない
つまり、故人の財産を勝手に動かせない状態になります。
凍結を解除するには「相続手続き」が必要
銀行口座を動かせるようにするには、
相続人全員による遺産分割（お金の分け方）が決まっていること
を銀行に示す必要があります。
銀行では、次の2つのパターンで手続きします。
① 遺産分割協議が終わっている場合
→ 「誰がいくら相続するか」を決めた書類を提出。
② 法定相続分で分ける場合
→ 遺産分割協議をせずに、法律上の割合で相続する方法。
③ 遺言書がある場合
→ 遺言書等の書類を提出。
家庭状況に合った方法を銀行が案内してくれます。
銀行口座を解約・名義変更するまでの流れ
ここからは、実際のステップを順番に説明します。
【STEP1】銀行へ「相続手続きしたい」と連絡
口座がある支店に電話するだけでOKです。
最近はネットフォームで受付する銀行もあります。
【STEP2】必要書類をそろえる
銀行によって多少違いますが、一般的には次の書類を準備します。
＜よく必要になる書類＞
- 亡くなった方の戸籍（出生〜死亡まで全部）
- 相続人全員の戸籍
- 相続人全員の本人確認書類
- 相続人全員の印鑑証明
- 遺産分割協議書（協議した場合）
- 銀行所定の相続手続き書類
- 遺言書
これが一番大変な部分で、行政書士が依頼を受けることも多いポイントです。
【STEP3】銀行の窓口または郵送で提出
書類がそろったら、銀行に提出します。
不備があると差し戻されるので、丁寧な確認が重要です。
【STEP4】銀行側の審査
内容に問題がなければ、1〜3週間ほどで手続きが完了します。
（銀行によって期間は異なります）
【STEP5】相続人の口座へ振り込み、または口座解約
最後に、指定した相続人の口座へ振り込まれたり、現金で受け取ったりして手続き完了です。
よくある質問
Q. 凍結された後に自動引き落としはどうなる？
→ 止まります。
公共料金や家賃の引き落としができなくなるので、早めの連絡が必要です。
Q. 凍結前なら引き出してもいい？
→ 相続人間で深刻なトラブルになったり、相続放棄ができなくなるリスクがあるので注意が必要です。
Q. 相続人の中に連絡が取れない人がいるとどうなる？
→ 基本的に「全員の手続き」が必要です。
行方不明の場合は別の法的手続きが必要になることもあります。
まとめ
- 銀行口座は「死亡が銀行に伝わった時点」で凍結
- 解除するには相続人全員の手続きが必要
- もっとも時間がかかるのは戸籍集め
- 書類がそろえばスムーズに手続きできる
相続の銀行手続きは、初めての方にはどうしても負担が大きいものです。
行政書士に依頼すれば、戸籍収集や書類作成を大幅に短縮できますので、必要な場合は専門家に相談するのもおすすめです。
