東京都でバーやスナック、キャバレーなどの営業を始める場合、営業許可を取得することだけでなく、営業開始後の従業者の管理についても注意が必要です。
特に「接待」を伴う営業では、誰がどのような業務を行うのかによって、風営法上の確認事項が変わってきます。
また、外国人を従業者として雇用する場合には、在留資格や資格外活動許可などについて確認しなければならないケースがあります。
今回は、東京都で風俗営業を営む方に向けて、
- 「従業者」とはどこまで含まれるのか
- 接待をする従業者について注意したいこと
- 外国人を雇用するときの確認事項
- 従業者名簿などの管理
- 店舗側が注意したいポイント
について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
風俗営業では「従業者」の管理も重要
風俗営業というと、
「許可を取れば営業できる」
と考えてしまいがちです。
しかし、実際には営業を開始した後も、営業方法や店舗の管理、従業者などについて法令上のルールがあります。
警察庁の解釈運用基準では、従業者名簿について、雇用契約のある労働者だけに限定されるものではなく、一定の業務に従事する者についても対象となることが示されています。例えば、第三者から派遣されたコンパニオンやダンサー、歌手などについても、営業に係る業務に従事する場合には従業者名簿の対象となる場合があります。
そのため、
「アルバイトだから関係ない」
「短時間だけだから大丈夫」
と簡単に判断しないことが大切です。
「接待をする人」だけが従業者ではない
ここは特に注意したいポイントです。
風俗営業の1号営業は、設備を設けて客の接待をして、客に遊興または飲食をさせる営業とされています。
そのため、接待をするキャストだけを管理すればよいというわけではありません。
例えば店舗の営業に、
- ホールスタッフ
- ドリンクを提供するスタッフ
- 調理スタッフ
- 接客スタッフ
- 接待をする従業者
- 歌手・ダンサーなど
が関わっている場合、それぞれの業務内容を整理しておくことが重要です。
特に、外部から人を派遣してもらう場合などは、「自社の従業員ではないから関係ない」と考えないよう注意が必要です。
「接待」に当たるかどうかは、実際の接客内容が重要
以前の記事でも解説しましたが、「接待」とは単にお客様と会話をすることだけを意味するものではありません。
例えば、特定少数の客の近くで継続して談笑したり、お酌をしたりする行為などは、接待に該当する可能性があります。
一方で、カウンター内から注文された飲み物を提供するだけなど、通常の飲食店としての接客であれば、直ちに「接待」に当たるとは限りません。
つまり、
「スタッフが客と話したから接待」
という単純な判断ではなく、
- 誰に対して
- どのような場所で
- どの程度継続して
- どのような接客をしたのか
など、実際の営業方法を総合的に確認する必要があります。
そのため、店舗を開業するときには、従業者に任せる仕事をあらかじめ整理しておくことが重要です。
従業者名簿についても確認しておきたい
風俗営業では、従業者に関する記録についても注意が必要です。
警察庁の解釈運用基準では、従業者名簿について、雇用契約のある労働者だけでなく、営業に係る業務に従事する一定の者も対象となることが示されています。
例えば、
「週末だけ手伝ってもらう」
「イベントのときだけ来てもらう」
「外部からスタッフを入れている」
といった場合でも、業務内容によっては従業者としての管理が必要になる可能性があります。
店舗を経営する場合には、
「誰が店舗の営業に関わっているのか」
をきちんと把握しておくことが大切です。
外国人を雇用する場合は特に注意
東京都で風俗営業を行う場合、外国人を従業者として雇用するケースも考えられます。
この場合は、一般的な外国人雇用のルールだけでなく、風営法上の確認事項についても注意が必要です。
警視庁は、接待飲食等の営業を営む風俗営業者等について、客に接する業務に従事させようとする者の、
- 生年月日
- 国籍
- 外国人の場合の在留資格
- 在留期間
- 資格外活動許可の有無など
を確認し、確認の記録を作成・保存する必要があると案内しています。
これは非常に重要なポイントです。
「在留カードを持っているから大丈夫」
というだけではなく、その人がその店舗で、その業務に従事できるのかまで確認する必要があります。
「資格外活動許可があるから働ける」とは限らない
外国人をアルバイトとして雇用する場合には、資格外活動許可についても注意が必要です。
例えば、留学生などについては、資格外活動許可を受けていても、風俗営業店等では働くことができない場合があります。
警視庁も、留学生などの資格外活動について、風俗営業店等では働くことができない旨を案内しています。
したがって、
「留学生だけど、週28時間以内なら雇える」
と単純に判断するのは危険です。
在留資格・資格外活動許可の内容と、実際に従事させる業務の両方を確認することが必要です。
外国人を採用する場合は、採用前に在留カード等を確認し、必要な確認記録を残すことをおすすめします。
外国人雇用では「在留資格」だけで判断しない
外国人を雇用するときには、少なくとも、
①在留資格
どの在留資格で日本に滞在しているのか。
②在留期間
在留期間が切れていないか。
③就労制限
その在留資格でどのような仕事が認められているのか。
④資格外活動許可
資格外活動をする場合、その許可があるのか。
⑤実際の仕事内容
店舗でどのような仕事を担当させるのか。
といった点を確認することが重要です。
警視庁によれば、不法就労者を雇用した事業主は不法就労助長罪の対象となる可能性があり、在留カードの確認をしていないなどの過失がある場合も処罰の対象となることがあります。
「接待をする従業者」と「通常のスタッフ」を整理しておく
店舗を開業する際には、従業者の仕事内容をあらかじめ整理しておくと安心です。
例えば、
| 役割 | 主な業務 |
|---|---|
| ホールスタッフ | 注文、配膳、片付けなど |
| 調理スタッフ | 調理、厨房業務など |
| 接客スタッフ | 飲食物の提供、接客など |
| 接待従業者 | 客との談笑、お酌、歌唱・ゲーム等の接待など |
というように、実際の営業方法に応じて整理します。
ただし、同じ「ホールスタッフ」という名称でも、実際に行っている業務によって法的な評価が変わる可能性があります。
肩書きではなく、実際に何をしているのかが重要です。
店舗オーナーが特に注意したい3つのポイント
ここまでの内容を、店舗経営者側の視点から整理すると、特に次の3点が重要です。
① 従業者が何をしているのかを把握する
「店長に任せているから分からない」という状態は避けましょう。
特に接待を伴う営業では、スタッフがどのような接客をしているのかを経営者側でも把握しておくことが大切です。
② 外国人を採用するときは事前確認をする
外国人を採用する場合には、
「採用してから確認する」
のではなく、
採用前に就労可能か確認する
という考え方が重要です。
風俗営業における接客業務については、外国人だけでなく日本人についても、生年月日や国籍などの確認・記録が必要となるルールがあります。
③ 「アルバイトだから大丈夫」と考えない
風俗営業に関するルールは、正社員だけを対象としているわけではありません。
アルバイト、短時間勤務者、外部から派遣された人など、実際の営業に関わる人について確認が必要になる場合があります。
店舗を開業するときには、
「誰を雇うか」だけでなく「その人に何をさせるか」
まで考えておくことが重要です。
風俗営業許可は「取得して終わり」ではない
風俗営業許可を取得した後も、
- 店舗の構造・設備の変更
- 営業方法の変更
- 管理者の変更
- 法人役員の変更
- 従業者に関する管理
- 外国人従業者の確認
など、営業を続ける中でさまざまな確認事項が発生します。
警視庁も、風俗営業について営業者や法人役員、管理者などに変更があった場合の変更届出など、営業開始後の手続を案内しています。
そのため、
「許可証を取得したから、あとは自由に営業できる」
というものではありません。
営業開始後も、実際の営業方法が許可・届出の内容から外れていないかを定期的に確認することが大切です。
東京都で風俗営業を始めるなら、開業前に「人」のことまで考える
風俗営業の開業準備では、
「物件は決まった」
「内装も完成した」
「許可も取れた」
というところまで準備して安心してしまいがちです。
しかし、実際に営業を始めると、スタッフの採用や接客方法について悩むことがあります。
特に、
「この接客は接待になるのか?」
「このスタッフを雇って大丈夫なのか?」
「外国人スタッフを採用できるのか?」
といった問題は、営業開始後ではなく、できれば採用・営業開始前に確認しておきたいところです。
東京都で風俗営業を始める場合には、店舗の場所や構造だけでなく、実際に誰が、どのような方法で営業するのかまで含めて準備することをおすすめします。
風俗営業許可・店舗開業について行政書士に相談するなら
当事務所では、東京都で風俗営業を始める方に向けて、営業形態の確認から許可申請、開業後の変更手続まで、状況に応じたサポートを行っています。
「これからスナックを始めたい」
「バーで接待をする予定がある」
「スタッフを雇いたいが、どこまでが接待になるのか分からない」
「外国人スタッフを採用する予定がある」
といった場合には、営業開始前に一度確認しておくと安心です。
風営法は、店舗の名称やスタッフの肩書きだけでは判断できない部分があります。
実際にどのような営業をするのかを確認したうえで、必要な許可・届出や従業者管理について検討することが重要です。
東京都で風俗営業許可を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
