風俗営業許可を取得する場合、営業する場所が適法かどうかだけでなく、店舗の内部が風営法上の構造・設備の基準を満たしているかも重要です。
「物件は見つかったから、あとは内装工事をすれば大丈夫」と考えていると、工事後に設備の見直しが必要になったり、申請図面と実際の店舗が一致しなかったりする可能性があります。
特に、スナック、バー、クラブなどの開業では、客室の配置、間仕切り、照明、音響設備などを事前に確認しておくことが大切です。
この記事では、東京都で風俗営業許可を検討している方に向けて、申請前に確認しておきたい営業所の構造・設備のポイントを行政書士がわかりやすく解説します。
風俗営業許可では「店舗の構造・設備」も審査される
風俗営業許可は、営業者本人の要件や営業場所だけを確認すれば取得できるものではありません。
営業所についても、風営法上の構造・設備に関する基準を満たしている必要があります。
警視庁の風俗営業許可申請書では、営業所の構造・設備について、
- 建物の構造
- 建物内の営業所の位置
- 客室数
- 営業所の床面積
- 客室の総床面積
- 各客室の床面積
- 照明設備
- 音響設備
- 防音設備
- その他の設備
などを記載することになっています。
つまり、風俗営業許可の申請では、単に「店舗が存在している」というだけではなく、どのような構造・設備の店舗なのかを図面や申請書によって具体的に示す必要があります。
申請前に確認したい構造・設備チェックリスト
ここからは、風俗営業許可を検討している店舗について、特に確認しておきたいポイントを整理します。
① 営業所の位置を確認する
まず確認したいのが、建物の中で営業所がどこに位置しているかです。
例えば、
- ビルの何階なのか
- 建物の一部を使用するのか
- 他のテナントとどのような位置関係になっているのか
- 営業所として使用する範囲がどこまでなのか
などを確認します。
許可申請では「建物内の営業所の位置」も記載事項となっています。
店舗を借りる段階では「このフロア全部を店舗として使う」という認識でも、実際の契約範囲や図面を見ると、共用部分などが含まれているケースもあります。
そのため、賃貸借契約書と実際の店舗の範囲を確認することが重要です。
② 客室の数・位置・広さを確認する
次に確認したいのが客室です。
風俗営業許可の申請では、客室数や客室の床面積などを記載します。
特に重要なのは、単純に「何席置けるか」だけではありません。
- 客室はいくつあるのか
- 客室とそれ以外のスペースが明確になっているか
- 各客室の面積はどのくらいか
- 客室の配置は適切か
- 間仕切りや壁によって客室の構造が変わっていないか
などを確認する必要があります。
また、風俗営業の種類によって構造・設備に関する基準が異なるため、「以前ここで営業していた店舗と同じようにすれば大丈夫」とは限りません。
営業形態に応じて個別に確認することが大切です。
③ 客室内の「見通し」を確認する
風俗営業の店舗では、客室内の見通しを妨げる設備について注意が必要です。
警視庁が公開している申請書の記載例でも、
客室内に見通しを妨げる設備はない
という事項が記載されています。
そのため、内装工事を行う際には、
- 大きな間仕切り
- 視線を遮る棚
- パーテーション
- その他の遮蔽物
などを設置する場合には注意が必要です。
特に、「おしゃれな内装にしたい」という理由で間仕切りや装飾を追加した結果、営業所の構造に影響することがあります。
内装業者に任せきりにせず、工事前に風俗営業許可との関係を確認することが重要です。
④ 照明設備を確認する
照明設備も重要な確認ポイントです。
風俗営業の種類によって、照明に関する基準が設けられています。
例えば、警視庁では第2号営業について、客席における照度を10ルクス以下として営業するものと説明しています。
一方で、風俗営業の種類によって適用される基準は異なります。
そのため、
「暗い店だから大丈夫」
「バーだからこの照明で問題ない」
といった感覚だけで判断するのは危険です。
照明器具の種類だけでなく、実際の照度や設置状況を含めて確認する必要があります。
⑤ 音響設備を確認する
カラオケなどを設置する店舗では、音響設備についても確認しておきましょう。
警視庁の風俗営業許可申請書では、音響設備について、設備の種類などを記載し、平面図に設置位置を示すことになっています。
例えば、
- カラオケ機器
- スピーカー
- その他の音響設備
などが考えられます。
実際の店舗に設置されている設備と、申請書や図面の内容が一致しているかどうかも確認しておくことが重要です。
⑥ 防音設備を確認する
音響設備とあわせて確認したいのが防音設備です。
警視庁の申請書でも「防音設備」が確認事項として設けられています。
特に、
- カラオケを使用する
- 音楽を流す
- 大きな音が発生する可能性がある
といった店舗では、店舗の構造や設備について事前に確認しておくことをおすすめします。
ただし、必要となる設備は店舗の構造や営業形態などによって異なるため、「この防音工事をすれば必ず許可が取れる」と単純に判断することはできません。
内装工事を始める前に確認することが重要
風俗営業許可を検討している場合、特に注意したいのが内装工事を先に進めてしまうことです。
例えば、
「壁を作って個室を増やした」
「客室の形を変更した」
「パーテーションを設置した」
「照明を大幅に変更した」
など、工事の内容によっては風俗営業の構造・設備に関係する可能性があります。
そのため、できれば工事を具体的に進める前に、
- 営業する業種を確認する
- 営業所の範囲を確認する
- 店舗の平面図を確認する
- 客室の位置・数・面積を確認する
- 間仕切りや遮蔽物を確認する
- 照明・音響・防音設備を確認する
- 必要に応じて警察署や行政書士に相談する
という流れで進めると安心です。
申請書の図面と実際の店舗を一致させる
風俗営業許可では、営業所の平面図などを添付して申請します。
そのため、申請図面と実際の店舗が違っている状態は避ける必要があります。
例えば、
- 図面にはない間仕切りがある
- 客室の位置が図面と違う
- スピーカーの位置が違う
- 客室の面積が変わっている
- 申請時と店舗のレイアウトが違う
といった状態にならないよう注意しましょう。
「図面は行政書士に作ってもらったから、工事は自由に変更してよい」というものではありません。
店舗のレイアウトを変更する場合には、変更内容によって、事前の変更承認が必要になる場合や、変更後の届出が必要になる場合があります。
許可を取った後の改装にも注意
風俗営業許可を取得した後も、店舗の改装には注意が必要です。
警視庁によると、営業所の構造・設備について、軽微な変更を除く変更をしようとするときは、あらかじめ公安委員会の承認を受ける必要があります。
例えば、
- 客室の位置を変更する
- 客室数を変更する
- 客室の床面積を変更する
- 壁や間仕切りなどを変更する
- 営業方法の変更に伴って構造・設備を変更する
といったケースが挙げられています。
一方、照明・音響・防音設備の変更など、軽微な変更として届出の対象となるものもあります。警視庁では、軽微な変更については原則として変更から1か月以内、照明・音響・防音設備に関する変更は10日以内の届出としています。
つまり、「許可を取った後なら店舗を自由に改装できる」というわけではありません。
改装をする場合には、工事を始める前に変更内容を確認することが大切です。
風俗営業許可の店舗チェックで特に注意したいポイント
ここまでの内容を簡単にまとめると、次のようになります。
【営業所】
□ 営業所として使用する範囲が明確になっている
□ 建物内の営業所の位置を確認している
□ 賃貸借契約の使用範囲と実際の店舗が一致している
【客室】
□ 客室数を確認している
□ 客室の位置を確認している
□ 各客室の面積を確認している
□ 客室内の見通しを妨げる設備がないか確認している
□ 間仕切り・パーテーションなどを確認している
【設備】
□ 照明設備を確認している
□ 音響設備を確認している
□ 防音設備を確認している
□ その他の設備について確認している
【工事】
□ 内装工事前に構造基準を確認している
□ 図面と実際の店舗のレイアウトが一致している
□ 工事後に設備を勝手に変更していない
□ 許可取得後の改装についても事前確認している
まとめ|風俗営業許可は「内装を作ってから」ではなく「作る前」の確認が重要
東京都で風俗営業許可を取得する場合、物件の場所だけでなく、営業所の構造・設備についても事前に確認することが重要です。
特に注意したいのが、
- 客室の位置・数・面積
- 客室内の見通し
- 間仕切りや遮蔽物
- 照明設備
- 音響設備
- 防音設備
- 申請図面と実際の店舗との一致
などです。
また、許可取得後の改装についても、変更内容によっては事前の承認や変更届出が必要になります。
そのため、風俗営業を予定している店舗では、物件契約→内装工事→許可申請という流れを単純に進めるのではなく、営業形態・物件・構造・設備をまとめて確認することが大切です。
「この物件で営業できるのか」「この内装で許可申請できるのか」「この改装は事前承認が必要なのか」など、個別の判断が必要になるケースもあります。
東京都でスナック、バー、クラブなどの開業を検討している場合は、内装工事を始める前に、営業形態と店舗図面をもとに確認しておくとよいでしょう。
※本記事は東京都での風俗営業許可に関する一般的な情報をまとめたものです。営業の種類や店舗の構造によって適用される基準が異なるため、具体的な店舗については管轄警察署や専門家への確認が必要です。

